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#192 はるばる京都へ「ダリ展に行ってきました。」

 今回は7月1日から京都市美術館にて開催されている、「ダリ展」へ行ってまいりました。無類のダリ好きである私自身にとって仕事の忙しくないベストなタイミングでの開催、そして大津へ行く予定もあり、思い立ったが吉日と勇んで京都に出発した。

 近鉄特急のべらぼうに高い電車賃に怒りつつ、丹波橋駅を過ぎたあたりから拝める任天堂本社ビルに頭を下げつつ電車に揺られて2時間半、ついに着きたるは京都駅。土曜日ということもあり、なんと人の多いことだろうか。多国籍な京都駅の構内を一目散にタクシー乗り場めがけて歩いていく。以前の経験を元に、京都市美術館に向かう際はタクシーで行くことに決めていた。

※京都市内は多数の路線バスが通っているものの、交通量の多さと観光客の多さと路駐の多さにより京都市内は渋滞だらけ。路線バスだとこの渋滞にモロにつかまってしまうため、抜け道を熟知している地元のタクシーの方がスムーズに行ける。この際お金は気にするな。ちなみに京都駅-京都市美術館間で片道1,500円ほど。

 タクシーに揺られて15分ほどで目的地に到着。建物外にはポスターも掲示されていた。
期待値がMAX、高ぶりながらも入場。大人一人1,600円とさして高くもないからありがたい。

ラインナップとしてはダリ初期の作品が多かった印象。シュールレアリスム以前の作品が多く並んでいた。次第にダリが自分流に傾倒していく過程を見れたのは非常に貴重であった。ただ一つ惜しむらくは、ダリ展と銘打ってあるものの、良く知られた作品があまり見られなかったことだろう。さすがに「記憶の固執」があるとは思ってなかったが、「燃えるキリン」など、超有名タイトルを見られると期待していただけにちょっと残念だった。

ただ、諸橋美術館や三重県立美術館からも取り寄せられていたのは好評、「ビキニの3つのスフィンクス」が見られたのは良しとしよう。どうせなら「日没大気の寓話」なども取り寄せてほしかったが、貸出元も目玉がなくなると困るのは同じだろう。
ただ全体的な総評としては、以前滋賀県近代美術館で行われたダリ展ほどの満足感は得られなかった。

良いポイントを挙げるとするならば、ダリ後期の作品群も多くそろえられていた事だろう。どうしても中期のシュールレアリスム期が評価されがちだが、後記の「ラファエロ聖母の最高速度」や「素早く動いている生物」など、シュールレアリズム期の完全なファンタジー路線から、静物に対して動のアプローチを掛けた作品群はまた違ったダリの一面を見せてくれる。この時期の作もダリの気持ち悪い気持ちよさを表している良作ぞろいだ。

これから夏休みにもはいり、京都に足を運ぶ人も少なくないだろう。休憩がてら涼しい美術館で美術に触れるのも悪くないだろう。
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テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

#129 生まれるのが800年早かった!?「天才仏師 運慶・快慶作 金剛力士像」

今回は久しぶりに美術分野に目を向けたいと思う、取り上げるは鎌倉時代の仏師運慶と快慶の二人だ。仏師というのは、その名のとおり仏像を彫る職人のことである。
 しかしその彫りあげる対象は架空の存在が多い、そのため立ち姿や表情など非常にセンスを問われる。今回は二人の対照的な作風のそれぞれの良さに触れていきたいと思う。
とくに同門である二人がそれぞれを仕上げた東大寺南大門に鎮座する阿形と吽形の金剛力士像が有名だろう。

阿吽像


画像引用元
http://goldfoot.exblog.jp/iv/detail/index.asp?s=12061711&i=200910/04/19/b0118919_825656.jpg

 左側が阿形、右側が吽形、見分けるのは簡単、口の形を見れば「あ」と「ん」の口をしている。このことから阿吽の2体は始まりと終わりを司っていると言われている。この2体は対の存在であり、ことわざで阿吽の呼吸というのはこの阿形と吽形から来ている。
ちなみに神社などに飾られている狛犬も左右で口が開いているものと閉じているものが鎮座しているが、これもそれぞれ阿形と吽形と呼ばれる。

ちなみに阿形を快慶が、吽形を運慶が制作したとされている。この2体にはそれぞれの特色が出ている。快慶の作風は絵画的、静謐とも言おうか、佇まいの美しさであったり縦横のバランスであったり、額に収まったような美しさを持つ作風が特長だ。一方運慶作風は荒々しさ、写実的、躍動的な作風が特徴的だ。往々にして仏頂面と呼ばれる無表情でのっぺりとした仏像に多い表情から一線を画した、非常に人間的な表情や表現を用いた。
左右対称のポーズを取ることが多かった阿吽像だが、この二人の天才はそれぞれの個性を存分に盛りこんで、それぞれの作風が更なる「対」を表現することに成功しているのだ。

大きくわかりやすい部分で3つの違いがある。一つは前に突き出した手、阿形は肘が下がり吽形は肘が上がっている、2つ目は手に握られた鉾、3つ目は画像では見えていないがそれぞれの立ち方だ。阿形はこの門に納めるイメージで作られたのだろう、やや窮屈な印象を受ける、だが像全体の納まり方はこちらの方がきれいに見える。一方吽形は肘を上がることで攻撃的なイメージと枠にとらわれていない動きを、鉾を後ろに広げることで奥行きを、そして右足を上げ、躍動を予感させる表現している。阿形の静けさと吽形の威圧、まさに門番たる姿は美しい。

 現代の仏師でも、これだけの表現を見せるのは難しいだろう、ルネサンスに先駆けて日本で起きた芸術革命の中心にいたのは間違いなくこの二人。ミケランジェロの彫像にも負けない日本の芸術を、ぜひ一度生でご覧いただきたいものだ。

テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

#91「幻想の画家ダリとフランス近代絵画の巨匠たち」をみてきました

 今回は2月8日(土)より、滋賀県大津市にある滋賀県立近代美術館で開催されている「幻想の画家ダリとフランス近代絵画の巨匠たち」展を見てきた感想を書き記したいと思う。

 まずきっかけは昨年の9月に同美術館で開催された「ポップの目~アーティストたちは現代文化に何を見たか~」という展示に足を運んだ時のことである。この時美術館の年間の展示予定を確認したのだが、その時2月8日のこの展示が行われることを知った。私の最も好きな画家はまさにサルバトール・ダリその人、そのダリの生の絵が見られる機会がまさかめぐってくるとは思ってもみなかった。そのため9月からの半年間、待ち焦がれていたのがこの展示会なのである。

 今回のこの展示のテーマはダリとフランス近代画家をクローズアップしたものだ。メインはもちろんダリではあるものの、その前座な役割を与えられているフランス近代画家のラインナップも素晴らしい、印象派の面々が中心だが、ルノワール、ピサロ、ゴッホ、ローランサン、シャガール、ピカソ、キリコ等有名画家たちの作品が数多く展示されている。前半部だけでも十二分に楽しめる展示ではあるものの、メインはやはりダリ。日本国内ではダリの作品の展示をもっとも行っている諸橋近代美術館のコレクションをそのまま借りてきたこれらの展示は、普段なかなか見られない若かりし頃のダリ作品や、絵画ではない彫刻などの立体作品などを見ることができる。

IMG_02ssunsets.jpg

日没大気の寓話(1941年)

 今回の展示の中でもやはりダリの真骨頂であるシュールレアリズムを最高に感じさせる作品は「日没大気の寓話」だろうか、意味が分からなければそれでいい、女性的でありながら、足しか人間たる部分を持たない中央の存在と、それを取り巻く黄金の黄昏、青い湖、女神的な存在、ああなんのこっちゃわからないが、とにかく気持ちのいい絵である。

 ダリの絵の中で「燃えるキリン」や「記憶の固執」などの有名な絵画の中で見られる、「殺風景な世界と謎の人間」という構図は脳裏に焼き付く。その上強烈な気持ちよさを見るものに与える力がある。まるでセックスをしているかのような気持ち悪さと気持ちよさが同居している世界がダリの作品には生きている。
 そして今回驚いたのが、ダリは意外にも写実的な静物画や、人物画も描いていたということである。もちろんちょっと普通のものとは違うが、現実的なものを描いているイメージが全くなかったため、ダリの違う面を知ることができたのは、よい収穫だった。
 ついつい今回の展示品を含めた画集を買ってしまった、しばらくは作品たちに浸ろうと思う。

テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

#70 現代アートのマイルストーン「ポップの目~アーティストたちは現代文化に何を見たか~感想」

 今回は9月7日より、滋賀県立近代美術館にて開かれている企画展、「ポップの目~アーティストたちは現代文化に何を見たか~」を鑑賞してきたので、その感想を書きたいと思う。

 まず私が惹かれたのは、この企画展の目玉としてポスターにも使われているロイ・リキテンシュタイン作「泣く女」である。近現代アートの代表的芸術家であるリキテンシュタインの描く漫画の一コマをクローズアップした絵という物に最初に衝撃を受けたのは今から10年前、それ以来最も好きな画家のひとりであったリキテンシュタインの本物の絵をこの目で見られるという機会に恵まれたことが私の心を突き動かした。
もちろんこのアート展はリキテンシュタインのみではない。1960年代に一世を風靡したポップアートという物を再度見つめなおし、アーティストたちは激動の時代をどう見つめていたかを考える、そんな企画展なのである。

泣く女

ロイ・リキテンシュタイン作「泣く女」 
http://www.allposters.co.jp/-sp/Crying-Girl-c-1963-Posters_i8307149_.htm

 たとえばポップアートの代表的芸術家、アンディ・ウォーホルは「マリリン」の連作の中でマリリン・モンローという50年代のアメリカを一斉風靡したセックスシンボルである彼女を強烈な色彩で描いた。モンローの肖像自体は彼女の写真から抜き出したものであり、それを飾る色彩の使い方こそがポップアートを完成させている。当時の時代を象徴する人間を自らの色で塗りつぶす。写真という時代が生み出したありのままを映す力を利用したその作品は世界に衝撃を与えた。

マリリン

アンディ・ウォーホル作「マリリン」連作
http://www.hirax.net/diary_image/552_andy-warhol-marilyn.jpg」

 そして彼のもう一つの代表作、「キャンベルスープⅠ」(10点組)は没個性、無個性、大量生産という現代に生まれた缶詰スープのその姿をありのままとらえ、スープの中身とその名前以外なにも差異のないその缶詰が、世界を覆っていくそのうすら寒い恐怖を描き出している。

キャンベルスープ

アンディ・ウォーホル作「キャンベルスープⅠ」のうちの1点
http://topic.auctions.yahoo.co.jp/other/buy_sell/antique/20080410/

そのほかにはロバート・ラウシェンバーグやジム・ダインなどオブジェを扱った芸術家等も数多く展示されている。

 そんなこの展示会、感想を言えば非常に興味深く楽しいものであった。どうしても芸術、美術となると15世紀~19世紀が注目されがちな中、現代ポップアートに触れる機会はなかなかない。リキテンシュタインのようなインパクトがある画家はつかみとしては最高だろう。私も見事に掴まれたうちの一人だ。ただ切っ掛けがリキテンシュタインだっただけに、氏の絵が3点だったのは残念だった(「泣く女」「フット・アンド・ハンド」「積み藁(連作10点)」。しかしそれでも絵画図鑑でしか見ることができなかった絵と、生で見る絵の違いという物がひしひしと伝わってきた。まるでポスターのような、一見印刷物にしか見えないリキテンシュタインの作品も、間近で見れば本人のサインも入っているし、筆の流れも見ることができる。「そう、これは人が描いた絵なんだ」という再確認と、その意味のある線に圧倒される。そしてもっと見たいという気持ちに駆り立てられる。現代ポップアートは「斬新」や「大胆」という言葉で語られることが多いだろう。そこに「美術」ではなく「芸術」であるということが伝わってくる。そしてこの感覚こそが「ポップの目」なのではないだろうかと考える。
非常に充実した時間であった。2月のダリ展を楽しみに今日は一旦筆を置くとしよう。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

#53 近代日本画の大家「山本春挙」

 日本画というと皆さんはどのような絵を浮かべるだろうか、やはり山や滝を墨で描くような俗に言う水墨画呼ばれるものだろうか。はたまた狩野派に代表される屏風絵なんてものも非常に日本的なものと言える。しかし「日本画」と評される絵画は明治以降日本にも広まった「洋画」に対して、日本の伝統的な構図と手段を用いた絵画を表現するために生まれた言葉が「日本画」だ。そのため基本的に日本画と呼ばれるものは明治以降に書かれたものである。
 今回紹介したいのはこの日本画家の大家、山本春挙である。雪舟に代表される水墨画という物は中国風の水墨山水画だが、これらの作品は山を大きく険しくダイナミックに描き、それと対照的な静物が置かれている二極的な面白さが人の目を楽しませてくれる。
そして日本画が迎えた進化というのは、その色彩の鮮やかさである。

山元春挙:春夏秋冬(1913) http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=150980&edaban=1
00980.jpg

水墨山水画に見られる伝統的な構図はそのままに、岩顔料を「にかわ」で溶かした塗料を用いている。もちろんそれ以上に正確な筆致に合わせ、写実的でありながら美しい景色を見事に描き出した秀作だ。日本だからこそ感じられる四季と山水画という物は抜群に相性がいい。四季の姿を映す自然の鏡と言っていいだろう、そしてその姿を見事に紙に封じ込める春挙画の美しさたるや。

山元春挙『雪渓遊鹿図』
fa407e8dea4dcd213018aea7277683b2.jpg


さらに水墨画をほうふつとさせるモノトーンの雪の世界を描いたこの絵だが、手前の木から感じる寂しさとその後ろに映る大雪山のダイナミックさ、この対比が迫力を生み出す。山元春挙の得意とする雪山と木々の風景、そのシンプルだが美しい世界を見事に描きだす。PCの小さな画面ではとても伝えられないこの迫力がもどかしい。

絵画と言えば洋画が中心に見られがちだが、やはり日本人にはこの風景がよくなじむ。この日本画という世界に触れる良いきっかけになればと思う。

テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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